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はじめに
Windowsの「CHKDSK」コマンドは、ディスクのエラーを検出・修復する便利なツールですが、誤った操作によってデータを消失させる危険性もあります。特に、ファイルシステムが破損している場合や、物理的な損傷があるストレージに対してCHKDSKを実行すると、データが完全に失われるリスクが高まります。
本記事では、CHKDSKの仕組み、データ消失のリスク、そして安全なデータ復旧方法について詳しく解説します。CHKDSKを適切に活用しながら、データ消失を防ぐためのベストプラクティスを紹介します。
1. CHKDSKとは?その仕組みを解説
CHKDSK(チェックディスク)とは?
CHKDSK(Check Disk)は、Windowsに標準搭載されているディスク診断・修復ツールで、以下の目的で使用されます。
● ファイルシステムのエラーを検出・修正する(NTFS、FAT32など)
● 不良セクタをスキャンし、使用できない領域をマークする
● ディスクの一貫性を確保し、クラッシュを防ぐ
CHKDSKの実行方法
CHKDSKを実行する方法はいくつかあります。
方法① コマンドプロンプトから実行
- 「スタート」メニューを開く
- 「cmd」または「コマンドプロンプト」を検索し、管理者権限で実行
- 以下のコマンドを入力して実行
chkdsk X: /f /r
※「X」は対象のドライブレターに置き換える。- /f → ファイルシステムのエラーを修正
- /r → 不良セクタを検出し、データを移動
方法② エクスプローラーから実行
- 「PC(マイコンピュータ)」を開く
- 対象のドライブを右クリックし、「プロパティ」→「ツール」タブを選択
- 「エラーチェック」をクリックし、指示に従う
CHKDSKが修復する内容
● ファイルシステムエラー(NTFS/FAT32の破損)
● ディレクトリの破損や不整合
● 不良セクタの検出と無効化
● 未割り当て領域の修正
2. CHKDSKが引き起こすデータ消失のリスク
CHKDSKはファイルシステムの修復に優れていますが、誤って実行するとデータが消失する可能性があります。
CHKDSKによるデータ消失の主な原因
● 修復時に破損データが削除される
– CHKDSKはファイルシステムの一貫性を保つため、破損したファイルを削除してしまうことがあります。
● 誤ってRAW(未フォーマット)ディスクで実行
– ディスクがRAW(未フォーマット)状態の場合、CHKDSKは実行できませんが、強制的に修復しようとするとデータが完全に失われることがあります。
● 不良セクタのスキャンでデータが上書きされる
– CHKDSKの**/rオプション**は、不良セクタにあるデータを「別の場所」に移動しますが、これが失敗するとデータが読めなくなる可能性があります。
3. CHKDSKを実行する前に確認すべきこと
データ消失を防ぐために、CHKDSKを実行する前に以下の手順を実施しましょう。
① まずはバックアップを取る
CHKDSKを実行する前に、可能な限りデータのバックアップを取得してください。
バックアップの方法 ● 外付けHDDやSSDに手動でコピー
● クラウドストレージ(Google Drive、Dropbox、OneDriveなど)に保存
● ディスク全体をイメージバックアップする(Macrium Reflect、AOMEI Backupper)
② ディスクの健康状態をチェック
CHKDSKを実行する前に、ディスクの健康状態を確認しましょう。
● 「CrystalDiskInfo」を使用して、ディスクの状態を確認
● S.M.A.R.T.情報をチェックし、警告(「注意」「異常」)がないか確認
③ データ復旧ソフトでスキャン
CHKDSK実行前に、データ復旧ソフトを使用して、失われたデータをスキャンし、事前に復旧できるか確認することも重要です。
4. CHKDSK実行後にデータが消えた場合の復旧方法
CHKDSKを実行した後にデータが消えてしまった場合、以下の方法で復旧を試みましょう。
① データ復旧ソフトを使用
CHKDSK後にデータが消えた場合、データ復旧ソフトを使えば復旧できる可能性があります。
おすすめのデータ復旧ソフト
● EaseUS Data Recovery Wizard(簡単操作で復旧可能)
● Recuva(無料で利用可能)
● R-Studio(高度なデータ復旧に対応)
復旧手順
- データ復旧ソフトをインストール
- 該当のディスクをスキャンし、削除されたデータを検索
- 復旧可能なデータを選択し、別のストレージに保存
② システムの復元を試す
Windowsには「システムの復元」機能があり、以前の状態に戻すことでデータが復旧する可能性があります。
手順
- 「スタートメニュー」→「回復」→「システムの復元」
- 復元ポイントを選択し、以前の状態に戻す
③ CHKDSK実行後にRAWになった場合の対処
CHKDSK後にドライブが「RAW」になってしまった場合、データを取り戻すための手順を実施します。
手順
- 「TestDisk」などのRAWドライブ修復ツールを使用
- データ復旧ソフトでファイルをスキャンし、復旧する
- 復旧できたら、ドライブをNTFSまたはFAT32でフォーマットし直す
総括
CHKDSKはWindowsの強力なツールですが、誤った使い方をするとデータが消失するリスクがあります。データ消失を防ぐために、事前のバックアップ、ディスクの状態チェック、適切なデータ復旧方法を把握しておくことが重要です。
データ消失を防ぐためのポイント
● CHKDSKを実行する前に、必ずバックアップを取る
● ディスクの健康状態を確認し、不良セクタが多い場合はCHKDSKを実行しない
● データが消えた場合は、速やかにデータ復旧ソフトを使用する
● CHKDSK実行後にRAWになった場合は、TestDiskなどのツールで修復を試みる
CHKDSKを適切に活用しながら、大切なデータを守るための対策を徹底しましょう。