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はじめに
BitLockerは、Windowsに標準搭載されている強力な暗号化機能で、HDDやSSDのデータを保護するために利用されています。しかし、パスワードや回復キーを紛失した場合、HDDの故障、ファイルシステムの破損が発生した場合には、データにアクセスできなくなるリスクがあります。
本記事では、BitLockerで暗号化されたHDDからデータを復旧する方法を詳しく解説します。上級者向けの復旧手順も紹介するため、適切な対応を行い、大切なデータを守りましょう。
1. BitLockerで暗号化されたHDDのデータが失われる主な原因
BitLockerで暗号化されたHDDのデータが失われる原因を把握することで、適切な復旧方法を選択できます。
よくあるデータ消失の原因
● パスワードや回復キーの紛失
– BitLockerは高度な暗号化を行うため、パスワードや回復キーを忘れるとデータの復旧が困難になる。
● HDDの物理的な故障
– HDDが物理的に壊れた場合、BitLockerの暗号化が解除できず、データにアクセスできなくなる。
● BitLockerメタデータの破損
– 何らかの理由でBitLockerの情報が破損すると、パスワードや回復キーが正しくても復号できなくなる。
● OSのクラッシュや誤操作によるデータ消失
– Windowsのクラッシュ、誤ってフォーマットした場合、BitLockerの暗号化データが消える可能性がある。
● HDDのファイルシステムがRAWになった
– ファイルシステムがRAWになると、BitLockerの復号化が難しくなる。
2. BitLockerのデータを復旧する前に確認すべきこと
データ復旧を試みる前に、以下の手順を確認することで、復旧成功の可能性を高めることができます。
① BitLockerの回復キーを確認
BitLockerの回復キーがあれば、HDDを復号してデータにアクセスできます。以下の方法で回復キーを確認しましょう。
● Microsoftアカウントで確認
1. Microsoftアカウント にログイン
2. 登録されているBitLocker回復キーを確認
● 回復キーのバックアップを探す
– USBメモリ、紙に印刷したもの、クラウドストレージなどをチェック
● ドメイン環境(企業PC)の場合
– システム管理者に問い合わせ、Active Directory(AD)に回復キーが保存されていないか確認
② HDDの状態をチェック
BitLockerの問題ではなく、HDDの物理的な問題が原因である可能性もあります。
● 別のPCに接続して認識されるか確認
● 「ディスクの管理」(Win+X → ディスクの管理)でHDDの状態を確認
● エラーメッセージがある場合は記録しておく
3. BitLockerで暗号化されたHDDのデータを復旧する方法
ここからは、BitLockerで暗号化されたHDDのデータを復旧する方法を、ケース別に解説します。
① 回復キーがある場合の復旧方法
回復キーがある場合は、以下の方法でデータを復旧できます。
Windowsの「BitLocker 回復画面」から復旧
- HDDをPCに接続し、PCを起動
- BitLockerの回復キー入力画面が表示される
- Microsoftアカウントや保存した場所から回復キーを入力
- ドライブのロックが解除され、データにアクセス可能
コマンドプロンプトを使用する方法
- コマンドプロンプトを管理者権限で開く
- 以下のコマンドを入力してBitLockerを解除
manage-bde -unlock X: -recoverypassword YOUR-RECOVERY-KEY
※「X:」はHDDのドライブレター、「YOUR-RECOVERY-KEY」は回復キー- データが復号化され、アクセス可能になる
② 回復キーがない場合の復旧方法
回復キーを紛失した場合、以下の方法で復旧を試みます。
回復キーをPC内のファイルから探す
- 以下の場所を検索:
C:\Users\Public\Recovery\
C:\Windows\System32\Recovery\
- USBメモリや印刷物をチェック
- 見つかった場合は
manage-bde
コマンドでロック解除
③ BitLockerのメタデータが破損している場合
BitLockerのメタデータが破損していると、通常の方法では復旧できません。この場合、専門的なデータ復旧ソフトや専門業者を利用することを検討してください。
「BitLocker Repair Tool」を使用する
- コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを入力
repair-bde X: Y: -rp YOUR-RECOVERY-KEY
- X: → BitLockerがかかっているHDD
- Y: → 修復データの保存先
- これにより、BitLockerの復号化を試みる
④ HDDが物理的に故障している場合
HDDが物理的に故障している場合は、以下の方法を試す。
● 別のPCに接続して試す
● USB-SATAアダプターで接続し、認識するか確認
● 専門業者に依頼する(特に基板故障の場合)
4. BitLocker暗号化HDDのデータ復旧に強いソフト
BitLockerのデータ復旧に特化したソフトを利用することで、データを取り戻せる可能性があります。
● EaseUS Data Recovery Wizard(BitLocker対応)
● R-Studio(高度なデータ復旧に対応)
● M3 BitLocker Recovery(BitLocker暗号化ディスク専用)
5. データ消失を防ぐための対策
BitLockerのデータを安全に管理するためには、以下の対策が重要です。
● 回復キーを複数の場所に保存する(Microsoftアカウント、USBメモリ、紙など)
● 定期的にHDDのバックアップを取る(BitLocker有効のままバックアップ可能)
● HDDの健康状態をチェックし、早めの交換を検討する
総括
BitLockerで暗号化されたHDDのデータは、回復キーや適切な復旧ツールを使用すれば取り戻せる可能性があります。
復旧のポイント ● 回復キーがある場合は「manage-bde」コマンドで解除
● メタデータが破損している場合は「BitLocker Repair Tool」を使用
● HDDが物理的に壊れている場合は専門業者に依頼
● 回復キーは必ず複数の場所に保存し、バックアップを取ることが重要
万が一に備えて、データを安全に管理する対策を徹底しましょう。